「そう。それじゃあ片瀬君、あみだくじって知ってる?」
「まあ、知ってるけど」
「じゃあ、ちょっと作ってくれる? 出来るだけ複雑で、出来るだけ難解なのを」
「えーっと。まあいいか」
あまりに突飛なその発言に、少しついて行けなくなりそうになった。
が、そもそも自殺しようとしている学年一の天才の心情を理解しようと言うのが間違いな気もしてきたので、俺は鞄からノートとシャーペンを取り出した。
縦線を十本引き、横棒や斜め棒を駆使して蜘蛛の巣のようなそれを作り上げる。
「こんなもんでいいか?」
「貸して。赤ペンも」
柳葉は俺からノートと赤ボールペンを受け取ると、ぱっぱと十本線を引いた。
その線はどれもあみだくじの上点から下点に向けて引かれていて、それはえーっとつまり。
「頭がおかしいと思うでしょうけれど、私にはそれはそう見えてるの」
「ちょっと待ってくれ」
左端から順番にあみだくじをやってみる。
辿り着く先は、全て基点と終点が赤いラインで繋がれていた。
学年一の天才だとは聞いていたが、一瞬でこれら全ての答えを見抜くのは凄いな。
結構複雑に作ったんだけど。
続かないと言うかそろそろ俺を喰えよ霊能者とか喰ってないで。疲れるだろ。