桜君は照れたように頭をかいて。
「そうですね……ちゃんと処理しておきます。ところで、舞さんはなんでここに?」
その言葉に当初の予定を思い出した。
バッグを持った左手をしめして、言う。
「月見酒でもしようかな、って思ったんだよね。ここ、私の気に入りの丘だから」
「それじゃあ、わりと削いじゃいましたかね、すみません」
「いやいや、これもまた経験だよ。桜君が、桜の木の下で死体を弄っている、というのもまたどこかシュールでいい」
「この桜、赤くなっちゃうんでしょうか……」
「さぁ、桜のみぞ知る。だよ。そうだ、桜君も一緒に呑もうか?」
良さそうな場所に座り、バッグから一式を取り出して、杯を二つ出して言う。