しかし、彼の予想はただしかった。そう、あの子。桜君は人狼だったのだ。何故私が知っているかって? ……会ったんだ。そう、会ったんだよ。
あれは、数ヶ月前の事だった。
私が、月見酒でも楽しもうと外に行き、お気に入りの丘に登るとそこには桜君がいたのだ。
「あら。何をしているの。桜君そんなところで」
私はよく考えずに、声をかけた。すこしばかり嘘。一人で呑むのも少し寂しいし、知り合いがいて声をかけないというのも私の信条にしたがうと取り得ない選択だったのだ。
「ああ、こんばんは舞さん。……ああ、そうだ舞さんになら聞いてもらってもいいかな」
「なにを?」
「俺、人狼? って奴になっちゃったみたいで、ですね。ちょっと食欲があふれてあふれて仕方がないんです」
「ふむふむ、それで?」
「それで? だけなんですか。なにか聞きたい事とかあるんじゃないですか?」
「自分でも解っていなさそうなことをわざわざ聞いても仕方ないでしょう」
「そう、なんですけどね……」
「でもま、ちゃんと片づけはしておいた方がいいと思うよ?」
死体のようなものを横目で見て私は言った。