むかし、あるところに売れない作家がいたんだ。
彼の書く小説ときたら、とても暗い話ばかりで、読者はロクにいなかった。
彼は色々と考えて明るい話を書こうとしてみたんだが、もともとの性格のせいで、思いつくのは暗い話ばかりだった。
ところがある日、その作家は面白い話を聞いた。
世界のどこかに、一冊の魔法の本があるというのだ。
その本がどういうものかというと、とても一言じゃいえない。(時間がない)
しかし、とにかく不思議な本だった。
その本の魔法というと、たとえばこうだ。
ある持ち主が、その本を開いてみる。
すると、そこには世にも面白い物語が書いてある。
ところが、その物語は最後まで書かれていないのだ。
物語の続きを読むには、その本を他の人に譲らなければならない。どういうことかというと、その本の内容は持ち主によって変わるのだ。
本は、一人につき100ページずつ書き換えられる。
その作家が本を手に入れたとき、中身は2000ページにも及ぶ大作になっていた。